ヒートアイランド 環境計画
)
授業の中で以下のように進めて行きます。
思いつく限りの問題をリストアップ
↓
問題の絞り込み
↓
絞り込んだ問題を解決するための計画を考える。
縦スクロールが面倒な方はこちら
0. はじめに
地球全体の平均気温は、この100年間に寒暖を繰り返しながらも、着実に上昇する傾向を示しており
、約0.6℃上昇しているといわれている。地球温暖化に関しては本当に地球的規模で温暖化しているか、など様々な説があるが、気象庁によると、東京都の年平均気温はこの100年間で約3.0℃上昇し
ている。環境省はヒートアイランドを、大気の熱汚染によるあらたな都市公害、と位置づける見解を2001年に公表するにいたった。
大正時代まで、東京の熱帯夜は年に1日あるかないかだったそうだからいかに気温があがったかよくわかる。現在では、夜の気温が高いためにエネルギー消費量が増大し、それがさらに都市の高温化に一層拍車をかけている。
東京では、東京湾と鹿島灘のから強い風が吹き込み、湿った空気が衝突し、急激な上昇気流が発生、局地的な集中豪雨が降ると考えられている。
近年、大都市では、夏に局地的な雷雲が発生し、突発的な激しい雨が降って道路が浸水したりすることが多くなっているが、ヒートアイランドもその一因と考えられている。
ほかにも、建物や道路の蓄熱、人工排熱などによって郊外よりも温度が高くなるために上昇気流が生じ、地上近くでは郊外から都心部へ、上空では逆に都心部から郊外へと流れる循環流が発生。都市の上空を汚染物質がドーム状に覆う「ダストドーム」と呼ばれる現象が起こる。しかもダストドームの中で、気温上昇によって有害物質の濃度が増すことも懸念されている。
このように、ヒートアイランド現象は、単なる熱汚染問題であるのみならず、大気汚染問題でもある。
ヒートアイランドはスケールの違う様々な要因が絡みった複雑な現象である。都市への人口の集中により各種のエネルギーの使用量、都市の構造、緑地面積の現象など様々な要素が複合的にからみあっている。
これらの対策として
1.都市の構造を変える
2.都市の人工排熱を減少させる
3.地表面被覆の改変
などが有望視されている。
私たちは日頃新宿区に通い、また新宿区に住んでいるメンバーもいる。そんな私たちも直接影響を受けるという点で関係が深く、身近な環境問題であるヒートアイランドの環境計画を立てることとした。
早田宰先生のおっしゃていた、政治・社会・歴史・経済・工学・心理・法・教育・産業など様々な視点から環境計画を考え策定していきたい。
1. ヒートアイランドとは
【ヒートアイランド現象とは】
都市化による地表面被覆の人工化(建物やアスファルト舗装面などの増加)やエネルギー消費に伴う人口排熱(建物空調や自動車の走行、工場の生産活動などに伴う排熱)の増加により、地表面の熱収支が変化して引き起こされる熱大気汚染であり、都心部の気温が郊外に比べて島状に高くなる現象をいう。
(平成14年度 ヒートアイランド現象による環境影響に関する調査検討業務報告書/平成15年3月・環境省)
2.KJ法によるヒートアイランドについての問題分析
ヒートアイランドについて
@ 原因
A 影響
B 対策
についてKJ法による問題分析を行った。
@ 原因
A 影響
B 対策
3. ヒートアイランドの構造図
4. ヒートアイランドのステークホルダー(利害関係者)図とその解説
<このステークホルダー(利害関係者)図についての解説>
1)【意思決定者】
このステークホルダーを見て分かるように、【意思決定者】のドンは『環境省』である。しかし着目すべき点はみんな思いつくであろう環境省のほかに、国土交通省・警察省・経済産業省・文部科学省・農林水産省、などの省も運動に加担している。これはヒートアイランド現象が環境という分野からだけでなく、様々な分野からアプローチが出来、さらに改善していけることを意味している。
2) 【提案者】
また【提案者】の層には市や県レベルの対策委員が並んでいる。【意思決定者】のレベルまではいかないまでも、各々の集まりで委員会を設置したりし、上で決める対策の元となったりしている。提案する立場でもあり、細かく実行していく立場でもある。
3)【アドバイザー】
3番目の層【アドバイザー】には主に研究する立場の人達が並ぶ。環境科学研究所や気象学会が研究によってだしたデータから1,2番目の層にアドバイスをしていく。4番目以降の層の様子も把握したりし、今どうなってるかという状況を把握して、随時対策を提案者などにアドバイスや実行。
4)【審査者】
【審査者】の層では【アドバイザー】と少し違い、自分では対策をするのではなく、あくまでも研究していく立場。あまり自分たちでは動かない。ここでも温度の上昇などのデータをだし、上の層へ知らせたりしている。また対策がうまく働いているか審査する層でもある。
5)【観察者・無関心者】
【観察者・無関心者】の層はさほどかわりはない。ただ都市部の方がヒートアイランド現象が深刻化しているので、そこの住民の方が関心は高いように思われる。
6)【「アドバイザー」の環境認識(構造)(典型的なアドバイザー)】
都の環境科学研究所、日本気象学会、土木・建築関係者
典型的アドバイザーとはやはり研究をしている役員ではないだろうか。研究をし、解析されたデータから適切なアドバイスをしていく。
そしてこのポストは【意思決定者】との関係が深い。意思決定者が決めたプログラムにそう研究、またはこの研究があってこその
プログラムであったりする。(たぶん資金援助をかなりしてもらっている、、、。)
では、自分たち(おもに観察者層の人たち)の考えた意見をプログラムに反映させるためにはどうすればいいのか?
『ヒートアイランド』という言葉は知っているけど、そんなに興味はないという人が多いと思う。
この現象はとても規模の大きい現象であり、逆に大きすぎて身近に感じられない場合が多い。
しかしまったく関係のない人なんていない事は皆わかっている。興味を持ってる人はどうだろうか?
サイトや授業で勉強する事で情報(ある程度断片的)は手に入るが、自分が考えた意見などはなかなかプログラムに反映しにくい。
ならばアドバイザーの層の人たちが市民などを対象にした講義、または学校などに赴き授業をしてみてはどうだろうか。
観察者の層からしてみれば新鮮かつタイムリーな情報が手に入り、自分の意見が反映するチャンスがもらえ、
さらに今自分たちが住んでいるところがどのような状況におかれているか知ることができる。
また逆にアドバイザーの層からしてみれば住民の関心が高まり、また違った視点からの意見が手に入るかもしれない。
この問題は国や自治体だけが動いて解決する問題ではない。無関心者層を関心者層へ、また関心者層にいた人たちをさらに取り込み、
地域住民が共通の意識を持ち(意見は違ってもいいが、目的は同じ)、一団となって解決にむかうことは大切であろう。
|
5. ヒートアイランドに関するdematel図
(1)dematel図
(2)dematel散布図
<解説>
少し見にくいが温度上昇・蓄熱効果とエネルギー消費の増加が相互に結ばれているなど、矢印が複雑に絡み合っており、ヒートアイランドは様々な要因が絡みった複雑な現象であることがよくわかる。また、「無計画な都市開発」がヒートアイランドの最も大きな原因であることがわかる。影響は温度上昇(熱帯夜の増加)、生活環境の悪化、生態系への影響などが大きなものとしてあげられる。
6. 現状〜ヒートアイランドによる影響
ヒートアイランドに関する計画を立てる上で、現在の状況を知ることは非常に大事である。
そこで、ここではヒートアイランドによる影響について見ていく。
ヒートアイランドは、単に都市温度を上昇させるだけでなく、特別な都市気候を生み、都市において予測しなかった影響を及ぼす。
ヒートアイランドは、中心部が低圧となるため、周囲から汚染物質を含んだ空気を中心部に集め、さらに、上空の逆転層により、都市内部の気流
の上昇を阻止してしまい、ヒートアイランド内部の大気はさらによどみやすくなるのである。
以下に、種々の影響を示す。
1.熱帯夜の増加
「はじめに」でも書いたが熱帯夜の日数は、年間30日を超えるようになり、右肩上がりで確実に増加している。
図 熱帯夜の推移 (資料:気象庁)
2.真夏日の増加
夏の最高気温が30℃を超える日数が近年急激に増加した様子がよくわかる。
図 東京地域の高温域の分布 左:1981年 右:1999年(資料:環境省「ヒートアイランド現象の実態解析と対策のあり方について」 )
3.熱中症の増加
近年、熱中症等による救急搬送人数が増加している。昨年は猛暑もあって過去最高を記録したのも記憶に新しい。日最高気温が30℃を超えると、熱中症による搬送者数が急激に増加することが分かる。
高温による救急搬送者数(資料:東京消防庁) 7〜8月の熱中症搬送者数と日最高気温(東京都環境科学研究所 )
4.集中豪雨の増加
ここ10年程で増えてきた50mmを超える豪雨は、90年代前にはあまりみられなかったという。特に23区西部で顕著なようである。
図 首都圏に中心を持つ暖気候期の短時間強雨の特性(永保・三上)
5.エネルギー消費の増大
ヒートアイランド現象による温暖化は、空調使用の増大を招き、その排熱でヒートアイランド現象が更に進むという悪循環である。
6.雲量の増大
都市域では雲量が増加する傾向にある。これは凝結核となる大気汚染物質が多いことと、ヒートアイランドによる上昇気流により
対流性の雲が発生することによる。
7.風の減衰
8.大気汚染
7. ヒートアイランドのメカニズム
ヒートアイランドの起こるメカニズムを知らないことには対策を立てようがないので、次にメカニズムについて考察してみたい。
東京首都圏は、都心部1千万人とその周辺2300万人の人口を加えた3300万人が半径60キロメートル内に居住している。早稲田大学理工学部教授の尾島俊雄によると、明治時代の産業化以降、高度成長期を経て都市には人口が集中し、都市域が拡大、地表面の人口被覆化、エネルギー需要の増加など様々な要因によりその周辺の大気に影響を与え、その結果都市気候が形成された。
都市域において、数10〜100km程度の広範囲にわたり人工化された地表面上の熱収支は、緑地などの減少により、
乾燥・高温化の方向に傾く。高温化した都市と郊外との間での温度差は、ヒートアイランド循環とよばれる広域の熱対流を生成し、
海風や山風といった自然冷気流の都市域への進行を阻害し停滞させる。
一方、都市気温の上昇には、より小さな街区スケールの要因も関係してくる。
建物が密集化した都市域には閉鎖的な街路空間が形成され、通風阻害が生ずる。換気効率が低下した街区空間では、
エアコン等からの人工熱排出が気温上昇の支配的要因となりうる。
また、コンクリート等、土壌よりも大きな熱容量を有する素材が集積する街区空間では、
日中に吸収・貯熱された日射熱の放出等により、夜間の気温降下が妨げられる。
都市が熱くなる要因として、筑波大学の吉野正敏は4つの要因を想定している。
1.工場・家庭で使う熱量が直接に都市温度を上昇させている。
2.細塵などの煙霧層により都市があたかも温室のようになり、都市温度を上昇させている。この影響は非常に大きく、夜間朝方まで気温が下がらないのはこの効果によるところが大きいという。
3.区部の建造物によって増加した気流の乱れによる熱交換。建物の凸凹により上下の空気が交換され、高いところの比較的高温の空気が降りてくるもの。
4.都市を構成する建造物の熱的特性によるもので、都市の表面はアスファルトやコンクリートで覆われていて、都市の表面温度が昼夜を通して高温になるというもの。
つまり
@工場、自動車・エアコンなどのエネルギー消費の増大→人口排熱の増大
A緑地・水面の減少、舗装化など→水分蒸発量の減少、比熱増大、反射率の増加→放射冷却の減少、熱吸収の増加→地表面の高温化・蓄熱増加
これらが→大気への顕熱・放射の増加→高温化
という構図である。
8. 「プログラム」を提案するにあたって
1)対策を立てるために
東京都は以下の調査研究があって始めて効果的な施策の実施が可能であるとしている。
1.実態調査:
熱環境の実態調査や、発生メカニズムの解明など気象的観点からの調査研究
2.原因調査:
地表面の人工化の進行や人口排熱の増加などヒートアイランド現象の原因と考えられるものに関する調査研究
3.抑制対策:
屋上緑化・保水性舗装・建物の被覆素材など、個々の抑制対策の技術向上とそれらの対策の効果に関する調査研究
4.影響調査:
ヒートアイランド現象の進行とエネルギー消費の増大や熱中症の増加などへの影響に関する調査研究
5.シミュレーション:
対策の実施とヒートアイランド現象に対する効果を把握するためのシミュレーションに関する研究
(東京都)
1. 2. 4.はすでに見てきた。
1.実態:2.KJ法によるヒートアイランドについての問題分析〜A影響
6.現状〜ヒートアイランドによる影響
7.ヒートアイランドのメカニズム
9(3)熱環境マップ(後出)
2.原因:2.KJ法によるヒートアイランドについての問題分析〜@原因
5.ヒートアイランドに関するdematel図
7.ヒートアイランドのメカニズム
4.影響:2.KJ法によるヒートアイランドについての問題分析〜A影響
6.現状〜ヒートアイランドによる影響
残りの3.5.をみていく。
3.抑制対策:8(2). 様々な対策
8(3). 対策評価
5.シミュレーション:8(3). 対策評価
2) 様々な対策
対策は、冒頭に書いたように大きく3つに分類することができる。
1.都市の構造を変える
2.都市の人工排熱を減少させる
3.地表面被覆の改変
それぞれについてさまざまな対策を考えることができる。
【対策を考える際の手順】
情報収集→シミュレーション→対策の検討→対策の実施→対策の検証
ここでは、私たちの計画として行っていくかどうかにかかわらず、現在実際に行われている例も含めて3つに分けた対策をそれぞれ詳しくみていく。
1. 都市の構造を変える
<放熱・排熱源の把握(情報収集)>
放熱・排熱インベントリの構築(既往の調査を参考に整理)
<放熱・排熱量の算定(情報収集)>
放熱・排熱量の原単位化(既往の調査を参考に整理)
<熱拡散シミュレーション(シミュレーション)>
@マクロ評価(既存)
入力データ:数百mメッシュ単位に平均化されたデータ(運搬率、容積率、放射量、道路率 など)を入力
アウトプット:数百m四方で平均化されているので、建物の形状・配置の影響を評価できない
Aミクロ評価(新規開発)
入力データ:個別建物の形状・配置、放熱源の位置、樹木や草地、道路の位置の入力
アウトプット:建物の形状・配置による風の流れや、放熱源の位置や屋上緑化が気温に与える影響を評価できる
以上の二通りの評価方法により、風の道、緑地の冷気、屋上緑化、保水性舗装
等の様々な効果の評価を実行し、シミュレーションする
<対策の検討>
風の流れのよい建物の配置、緑地の確保、都市排熱処理システムの構築、地域冷暖房の導入
<対策の実施>
国土交通省のGISなどによる広いスパンからの調査・検証、市・区・県・都の対策委員による地域に適した対策の意思決定がなされ、土木・建築関係者、都市工により工事の着手・施工。(ステイクホルダーを活用)
【例】
都の環境科学研究所、日本気象学会によって調査・検討、環境省(環境管理局大気環境課)、国土交通省、警察省、経済産業省、文部科学省、農林水産省によって意思の決定が行われ、
土木・建築関係者、都市工により工事の着手・施工
(ステイクホルダーを活用)
<対策の検証>
ヒートアイランドに関心のある一般市民(主に大都市部)から積極的な意見を取り入れるべく、インターネットを活用したパブリックサイトを環境省のHP上に公開し、集められた意見を分析し、対策の検証に活かす
2. 都市の人工排熱を減少させる
<広域熱環境の把握(情報収集)>
GIS(Geographic Information System:地理情報システム)などの地球観測衛星データにより、広域熱環境情報を正確かつスピーディーに得る
<さまざまな対策を列挙(シミュレーション)>
@ 公園緑地・道路を中心とした緑化計画
A 都心部道路におけるオープン水路整備
B 建築物・構築物の壁面・屋上緑化、水面創生と蒸発促進
C 道路広場等の透水性・保水性舗装の促進
D トランジットモール化による自動車交通の抑制・排熱低減
E 建物間の隙間創生・風の道創生・街区・建物の排熱計画と改善
F 変化ある開放的なまち。緑陰・日陰を利用した楽しみのまち。昼夜光の演出
G 公開空地やセットバックしたピロティ
H 地域熱供給、コージェネレーション、排熱回収システムの導入とインセンティブ
I パーゴラ、オーニング、カスケード等の仕掛けの導入
<列挙された対策の選定(対策の検討)>
集めた情報により人口排熱の原因となる地域を絞込み、その地域特性にあった対策を講じる。そこで、効果・コストもともに考慮に入れる
<対策の検証>
GISを用いて対策前と対策後の変化を表し、成果をインターネットを利用して公開する。また、市民とのシンポジウムを開き、対策の検証ともに市民参加型の対策へとシフトする
3. 地表面被覆の改変
大規模な緑地、堀、農地など、まとまりのある自然環境(緑や水面)は、都市を冷やす機能を持っている。
こうした場所(クールスポットを、街の緑化、緑地や風の通り道の確保などによってネットワーク化することで、ヒートアイランド現象の緩和を図ることができる。
特に街路とその周辺では、ビルの間の熱環境対策としても、歩道の広幅員化、歩道及び歩道に面する建築物外堀の緑化・保水(透水)性舗装等被服対策・日射対策など、積極的な環境対策も期待できる。)
被覆対策が必要とされる部分を具体的にあげると、@建築敷地、A道路、B建築物(特に屋上緑化)である。
@ 建築敷地の被覆対策
建築敷地の緑化、保水(透水)性舗装化、芝生の利用など工夫した駐車場の奨励、コンクリート舗装の削減など
A 道路の被覆対策
水性舗装など新たな舗装技術の検討、下水再生水の活用による道路散水、緑化
B 建築物(特に屋上緑化)の被覆対策
屋上や壁面の緑化、反射性(遮熱性)の高い塗料や仕上げ材の使用
3) 対策評価
ここまで様々な角度から対策をみてきた。このように、ヒートアイランドを改善する試みは、多岐に渡る分野で進められている。
しかし、いくら対策をしても効果がなければ意味がないであろう。そこでどうしたら効率的に効果をあげることができるかを考えてみたい。そのためには導入効果の定量化、つまりある対策がどれほどの効果をもたらすことができるかを調査する必要がある。
都市空間においては、気温上昇により増大する冷房消費エネルギーが排熱と化し、さらなる高温化を助長する悪循環が懸念されており、このような因果関係の連鎖や相互作用を考えることが可能な数値モデルの開発が待たれていた。
その中で、みずほ情報総研の亀卦川 幸浩らは導入効果の定量化を試みてきた。
(参考資料:亀卦川 幸浩らが提案する夏季ヒートアイランド対策配置系)
亀卦川らによると近年注目を集める”屋上緑化”ー。その気温緩和策としての効用は、建物の屋根面が主な大気加熱源として作用する街区空間に十分な蒸散冷却能力
を有する植栽を配した場合に限定され、万能のヒートアイランド対策とはいえない。
そのため東京23区全体で見れば、屋根面積の約4倍に達する側壁面を対策の導入対象とすることの方が、理にかなった提案といえる。
また、エアコンの室外機や自動車からの排熱が気温上昇の主因と考えられている大都市の中心部では、そもそも緑化について大きな気温低減効果は期待できない。
つまり、大手町や新宿等の事務所街区域では排熱削減、その周辺の住宅街においては緑化や保水性建材等の導入による建物側壁面の湿潤化が、
東京23区における効果的なヒートアイランド対策の配置と考えられる。
亀卦川も「ヒートアイランド対策の有効性は街区形状等の地域特性に依存するため、地域特性に配慮した対策検討手法の確立が重要」としめくくっている。
これで、8(1)「対策を立てるために」の5まで見た。
9. 「ヒートアイランド」プログラム
1) 基本方針